国境も時差も関係ない、社長のためのリーダーシップコーチ
「生き様を通して、人の可能性は無限であると伝えたい」
あらゆる分野でパワフルに活動を続ける髙橋明希さん。
中小企業4代目社長として会社を経営しながら、社長のためのリーダーシップコーチ、タレント、コメンテーター、ライターを務め、生き様を通して人の可能性は無限であると示し続けている。
しかしかつては自信がなく、たくさんの鎧を身に付け自分を縛り付けていたという。
明希さんの苦悩や変容、社長・経営者や社員への思い、そして今後の展望について伺いました。
強く見せようと鎧を着ていた
明希さんが初めてコーチングと出会ったのは2008年。
翌年の社長就任を前に、ビジネスコーチを知ったことがきっかけだ。
当時、コーチングを活用して社員のパワーを引き出すことが、経営者にとって必須のスキルだといわれていた。社長就任の準備のため勉強しようと思ったのが、コーチングを学び始めたきっかけだった。
「自分に影響力がないことを心配していました。社長に就任して、上手くリーダーシップを取っていけるのかどうか。なのでその時は『なんでもいいからとにかく勉強しよう』という気持ちで、まずは半年間のスクールを受講しました」
「コーチングを学ぶにつれて、『本当はもっとこうしたかった』という自分の内側の声に気付くようになります。当時は経営者になるためにとにかく勉強して、自分を強く見せようと鎧を着ていました。
でも本当はそんなに強い人間じゃないと気付くんです。それでも現実の自分は鎧を着て、リーダーとしてみんなを引っ張っていかなきゃいけないと思っている。
内側の声と現実の姿のギャップに苦しんだ半年間でした。
“傾聴”について学ぶと、実は私は社員の話を聞いても、理念という武器をかざして都合のいいように動かそうとしていたと気が付きました。習ったこと、自分が感じていること、実際の行動のギャップがすごくて、翌年もう一度同じプログラムを受け直しました」
若い女性社長が会社を率いることが珍しい存在だったことも明希さんを駆り立てた。
「ちょうどうちの会社が50周年を迎えるタイミングでした。責任感や、若さ・性別を言い訳にしたくないという気持ちで。今思うと、些末なことでものすごく自分で自分を縛り付けていました」
全ての問題の原因は自分の中にある

ところが明希さんの準備や思いとは裏腹に、社長就任後約2年で社員の半分が退職。
更にプライベートでは結婚、出産、離婚を経験し、2015年、明希さんはスタンフォード大学研究員としてアメリカに渡ることとなる。
「常にどこかに怒りがあって、もう人生めちゃくちゃだと思いました。
それで、生まれ変わりたい、逃げたいと思ってアメリカに渡りました」
逃亡計画もあったんですよ、と明希さんは笑顔で語る。
「でも心の中では、全ての問題の原因は自分の中にあると分かってるんですよね。
アメリカで起業する時、また昔のように完璧主義を求める強い女性が出て来たし、恵まれてるお嬢様で終わりたくないという気持ちもありました。
以前からコーチングは受けていましたが、『もう一度イチからやらないと人生に全く満足しないまま終わってしまう』と心の底で分かっていたので、自分の内側に向き合うためにコーチングを学び直そうと決めました。
更に全く新しい場所で、新しい人から、新しい仲間と一緒に学ばないとダメだと思ったので、ゆりさんのコーチングスクールを受講させて頂きました」
内なるエネルギーを認識する

そして現在、明希さんは社長や経営者のためのコーチングを提供している。
「社長や経営者にメンターやコーチの存在は必要不可欠です。自分一人では内なるエネルギーや思考・感情パターンは分かりません。思考と感情が変わらなければ、結果は変わらない。でも結果が出ない時に軌道修正できずに同じ方法を繰り返してしまうのが人間だと思うんです。
それでも、社長や経営者は影響力が大きいのでいい方向変わっていかなくてはいけません。そのためにメンターやコーチが必要です」
「内なるエネルギーを認識し、思考・感情パターンを変える。
ここに時間とお金を使うことが、一番最短・最速でゴールを達成する方法です。
自分一人の頭で考えられることには限界があります。内なるエネルギーや本当の答えを知るには、他人の視点で質問して貰うことでブレイクスルーするしかないんですよね。
社長はなんでも自分が一番理解し、一番できないといけないと思っている。
これは傲慢でしかない。
だから、他人にお願いすること、他人の力を借りることが大の苦手です。でも、この傲慢で経営ができる時代ではないのです。
だから、他人の力を借りる、他人の視点からの質問は、自分の弱さを認めることや、変わらざるを得ない立場になるということも社長として新しい境地に立つことができました」
「コーチングを学んで一番良かったのは、自分の内なる声に気付き、行動できるようになったことです。その成功体験を積むことで、『自分にも他者にも、未来があって挑戦できる』という期待を持てるようになりました。
自分に期待する、人に期待できるようになると、自分も人も健全に許すことができるんです。
2つ目はエネルギーマネージメントです。私は社長という肩書はあっても、社外では母親や保護者としての役割があります。日々様々なことが起こる中で、“今自分がしなくてはいけないこと”に頭をパッと切り替えられるようになって、無駄なことにエネルギーを使わなくなりました。
心がざわつくような時も、『これは誰の問題?』と分かるようになる。そうやってエネルギーマネージメントできるようになって、効率も上がったし出てくる結果も変わってきました。
さらにコーチングを通して『やりたいこと・必要ないこと』をクリアにして、“手放し上手”になれましたね。そうやって空いた時間に自分に集中できるのも、最高に幸せです」
個性を許して、多様性を認められるように

自身の会社や社長・経営者向けのコーチングに学んだ内容を取り入れることで、「一人一人の個性やユニークさを引き出すことができるのがすごくいいと思っています。そうすると、社内では変化に強い人材が増えてきていると感じます。
経営者仲間も、これまでの信念がただの妄想だと気付かれます。そうしてその方が走る姿を見れることは本当に嬉しいですね」
「コーチングを導入して社員の個性や得手不得手が分かってくると、それを許し、多様性を認められるようになりました。他には、やっぱり楽観的になったし、人に弱さを出せるようになりましたね。
そうすると会社の中で、自然と助け合う文化ができてるんです。
個人としても組織としても、ユニークさを認めて弱さを出せるようになった。
それってすごく大きな変化じゃないかと思います」
明希さんの変化は、会社全体の“思いやり”や“自立して行動する”といった社風に繋がっている。
社員のお客様への接し方も変化した。社員自らがメンタルをマネージメントして、お客様とコミュニケーションを取ることでラポール(信頼関係)を築く。結果的に、非常に高い顧客評価に繋がっている。
勇気を持って欲しい

明希さんは自身の学びを還元し続けている。
「社長さんにお伝えしたいことが2つあります。
まず、全てを自分事にする勇気を持つことです。
『社員が、市場が、円安が』と言って“他人”として捉えていては、問題は解決しません。業績のいい会社の社長さんは、全て“自分事”としてお話しされています。他人事にしている方が楽なんですが、全てを自分事にする勇気を持って頂きたいと思っています。
次に、自分の弱さを認める勇気を持つことです。
私もすごく勇気がいりましたが、弱さを出すことで助けを求められるようになり、最大限の成果を出せるようになりました。なので社長さんには自分の弱さを認める勇気を持ってほしいと思っているんです。
社員さんに対しては、仕事もプライベートも熱中して生ききる人生を送って欲しい。最近よく“ワークライフバランス”と耳にしますが、ワークもライフも充実させるなんて大変です。
私にとっては2つ合わせて人生です。自分が本当は何者で何をしたいのか、コーチングを通して気付いてもらうことで、『仕事も遊びもどちらも楽しい!』という方向にシフトして欲しいと思っています。
最後にエネルギーマネージメントも重要です。クリアな思考・感情を保ち、自分のエネルギーをどこに向けるのかマネージメントできる人を増やしていきたいと思います」
まずは社長から

「コーチングは社員が受けるものではなく、社長自身が受けるものです。社長自身がwinを実感できれば、自然と社員にもコーチングが広がって行くはずです。そうやってコーチングの文化を会社の中に広げていきたい。
また“社長”や“経営”に対する固定観念も全て取り払うことで、今までの信念が妄想だったと気付いて、ブレイクスルーして頂きたいですね。
会社については、競争しなくても選ばれる会社になって欲しい。
そのためには、社長、幹部社員、現場の社員それぞれがユニークな存在として尖ることが必要です。今は尖った個性が認められる時代なので、チャンスなんです。尖る企業は生き残り、尖らない企業は淘汰される。
松下幸之助さんの言葉に、“好況よし、不況さらによし”とあるように、今の不況は、実は尖るには最高のいい時期なんです。そんな風に変化していけるように広めていきたいと思っています。
3つ目に、後継者の方へも広げていきたいですね。
後継者はどうしても先代との比較や、事業を背負う重荷があります。すごく勉強しているので自分の存在を出したいという思いもある。でも、人が違うので先代と比べたって仕方ないんです。
自分のカラーや強みを出せば自然と認められます。なので自分のエネルギーをどこに集中させるかを考えて使えるようになって欲しいです。エネルギーを集中させるところが、企業理念でもありますね」
人の可能性は無限大だと、生き様を通して証明したい

「私は今後、生き様を通して人の可能性は無限であるということを伝えていきたいと考えています。
例えば“中小企業の社長である”という自己紹介をとっても、自分の可能性を制限しています。
これはスタンフォード大学で教授に言われて気が付いたんですが、一生“中小企業”でいる必要なんてないわけです。完全に自分で作った枠なんです。また、一生中小企業でいることは、成長しない、努力しない生き方であるということです。
それ以来、従業員規模は同じでも大企業に負けない社会貢献をして、経済産業省からも賞を頂いています。自分の枠を、まずはビジネスで超えるということを実践しています。
“社長”という枠も超えるべく実践しています。講演活動やコーチング、執筆、インタビュー、メディア出演などですね。まだまだいろんなところに出たいと思っています。
『社長は日本にいるべきだ』と多くの人に言われてきました。でも、私には国境も時差もありません。そういう制限のない生き方を選びたい。
うちの会社の従業員は、社長がまたどこかに行くんじゃないかとドキドキしていると思いますね。
でも、自由に移動しながら仕事ができると社長さんには示して欲しいんです。なぜなら、社長が縛られたら幹部や現場の社員はもっと縛られてきつくなるから。なので本当に“人の可能性は無限大だ”ということを、生き様を通して証明していきたいと思っています」
髙橋明希
- (株)武蔵境自動車教習所 代表取締役社長
- 早稲田大学MBA、法政大学大学院研究員
- 元スタンフォード大学客員研究員、シリコンバレーで起業
- 社長が自信と情熱を持って経営に邁進できるように伴走する
社長のためのリーダーシップコーチ
https://aki-takahashi.mykajabi.com/