音楽教育×コーチング 梅野智子さん

chou*chou音楽教室主宰/マインドコーチ

みんなが持って生まれた資質に気付いて、適材適所で輝けるように「何をするにもマインドが大事。大人も子どもも、自分らしく生きるお手伝いをしたい。

福岡市で「chou*chou(シュシュ)音楽教室」を主宰している、音楽講師&マインドコーチの梅野智子さん。

長年音楽を指導してきた智子さんが、コーチングを自身の活動に取り入れるようになった経緯、音楽教育とコーチングを組み合わせてどのようなことをされているのかについて、お伺いしました。

子どもの頃からの夢だった音楽教室

智子さんは、短大でピアノを専攻し、カワイ音楽教室にピアノ講師として就職。
10年間勤務した後に独立し、現在は福岡市で「chou*chou(シュシュ)音楽教室」を主宰。
ピアノ指導歴30年、リトミック指導歴8年という、音楽指導一筋の経歴を持つ。

「音楽教室は子どもの頃からの夢だったので、ずっとやっていきたいという思いがあります。」

智子さんには、子どもを指導する上で、大切にしている思いがある。

「『私はこう思う』と自分の気持ちに気付けて、少しずつ言葉にできるように、そして、『自分なら大丈夫』と自己肯定感高く自己実現していけるように、お手伝いしたいと思っています。」

こうした思いから、子どもが自分を表現する手法の一つとして、リトミックを音楽教室に取り入れている。

「リトミックは、音楽をする上でいいのはもちろんなのですが、大きくなってくると、その場で即興唱したり、パッと前に出て何かするということもするんです。
自分の順番が回ってきて、『はい、どうぞ』って言われたら大人でもドキドキするけど、ここなら失敗してもいいという空気の中で自分を出せること、パッと表現できることがすごくいいなと思って、取り入れました。」

コーチングを取り入れた音楽指導

「レッスンでは、一方的に教えるのではなく、『自分で今どう思った?』と聞いたりします。
失敗が怖いという子も結構いて、弾きたがらないことがあるので、『間違えたら、“ もう一回 ”って笑ってやってみればいいんだよ。先生もいっぱい間違えるよ』と言って免疫をつけたり、発表会の本番は『人間だからミスすることもある。“ 楽しい! ”って思う瞬間があれば花マルだよ。』と伝えています。」

コーチングの知見を活かし、演奏技術だけではなく、生徒が頭の中で自分にかける言葉も大切に指導する。

「発表会の前には、『演奏が終わって拍手をもらっている時に、どんな気持ちになりたい?』と聞いて、そこをイメージングしてから取り組むということをしています。そうすると、『レッスンよりも発表会本番ですごくいい演奏ができたり、のびのび弾けたりして、すごく嬉しかった』という言葉をもらえるんです。
弾きながら『また間違えた』と自分責めしながら弾いてしまうことってよくあると思うんですが、セルフトークの書き換えで変わるんです。
私自身、『演奏はその場で作るものだ』と学び、いつも通りにするのではなく、『生きたものだからその場で作る。もし間違っても、そこからまた楽しんで生み出せる』という発想を得たことで、すごく変わった経験があります。」

マインドを大事に、人が変わるお手伝いをしたい

「私はとにかく好奇心旺盛で、学びたいものを心の赴くままに学んできたのですが、『何をしててもマインドが大切なんだな』、『心の在り方で、幸福度は変わるんだな』ということを感じました。人が変化していく過程を見て、『人ってどこからでも変われるんだな』ということに感激したこともあります。」

こうした経験から、「マインドを大事に、人が変化するお手伝いがしたい」という思いを持つようになった。

「子どもに対しては教室で音楽を通してやってきていますが、子どもだけでなく、大人の方にも何かできないかなと思っていました。でも、“学んでることを形にする”ということがなかなかできなくて。
『マインドが大事だから何かしたい』と思うけど、『踏み出せない』、『形にしてお伝えするのが難しい』という思いがありました。『強い思いはあるけど、進みたいのに進めない』という感じで、ちょっとグルグルしていた。その時に、内観プログラム、Mental Breakthrough Basic(MBB)に入ったのがコーチングとの出会いでした。 」

MBBを受講し終わった後、「なぜ自分が動けないのかをもっと知りたい」「コーチングというツールを知りたい」と思い、コーチングスクールでさらに学ぶことにした。

「もともとすごく“感覚派”なので、幸せのセンサーみたいなのは磨いていて、自分で『嬉しいな』といった感覚を膨らませるのはできるようになってたんですけど、モヤモヤした時の紐解き方”が上手じゃなかったんだと思います。
でも、コーチングを学んで、心のメカニズムを知って、言語化してもらったことで、『無意識のどの部分で何が起きて、こうなっているのか』を知ることができました。そして、自分も“気付いていなかった思い込み”に気付けて、それを手放していけました。」

コーチングで深い部分まで紐解く

「コーチングを学んでいる間は、モヤモヤを紐解く”ということができるようになりたかったので、とにかくいろいろな人にコーチングをさせてもらいました。それで、理論で学んだことが本当にこういう風になってるんだっていうことが理解できました。

実はもともとコーチングが嫌いだったんですよ、私。
無理やりポジティブにさせられるみたいなイメージがあったり、『操作される』『心をロジックで解くなんて…』『気持ちが追いつかなくなりそう』と思っていたんです。 

一般的に、コーチングは目標達成や成長支援のようにゼロから上の支援、カウンセリングはマイナスの状態からゼロに上がるための支援、というように分けられます。
でも、人って誰でもゼロから上にも下にも行くことがあるし、誰でも上下の振り幅のバランスを崩すことがありますよね。
『上のところだけをすごく磨いていても、その下に何かあるんじゃないのかな』と感じる方をお見かけすることも多くて、何がどうなってるのかを知りたかったんです。 

Mental Breakthrough Coaching Instituteのプログラムがすごいのは、感覚的な無意識の部分と、左脳的な言語化したロジックの部分との両方が入っているところ。
以前は、無意識、潜在意識と聞いたら“スピリチュアル“”みたいなイメージだったんですが、人間の脳の九十何パーセントを占めているのが無意識の部分だと知ったので、そこにアプローチする瞑想などのツールも入ってるのが大きいと思います。
このように、上辺だけじゃなくて、本当に深い部分まで紐解くから、痛みを伴うこともあると思うんですけど、だからこそ、すごく効果があると思います。」

子どもはそのままで原石、生まれたてのまっさらな魂に近い状態

「コーチングでは、『自分は本当は何が好きなのか』といったルーツを掘るのに幼少期に戻ったりするんですが、それぐらい、小さい時から興味があることや行動には、その人の要素や資質のようなものがいっぱい詰まっているんですよ。

大人は社会に出て生きるうちに、社会に適合するために、いろんな鎧をまとっていきますが、小さいほどその鎧がなくて、生まれたてのまっさらな魂に近い状態なんだと思います。
大人が見習うべき点をいっぱい持ってるし、本当にそのままで原石。
子どもの方が本質がわかってるなっていつも思います。

だから、余計なものをまとう前に、『自分はこういうのが好きなんだ』と知っておくのはすごくいいんじゃないかと思っています。」

長く付き合うからこそ、子どもの良さを引き出したい

「子どもたちに向けては、『音楽を通して、自分らしく生きるお手伝いがしたい』という思いでやっています。ピアノのレッスンは、子どもとお付き合いする期間が長いんですよね。
すごく成長する大事な時期ですし、『家族以外の居場所になりたい』と思っています。 
そして、ずっと長く付き合う中で、音楽を教えることはもちろん、『その子の良さを引き出したい』とも思っています。」

コーチングを学んでからは、意識的にコーチングの要素を取り入れている。
「自分の『何が好き』『何がしたい』を知っていて、表現できる子になってくれたらいいな、という思いがあり、自分で質問カードのようなものを作って、教室で使っています。
『好きな色は何?』、『何の時間が好き?』、『どんな時にワクワクする?』 、『大人になってやってみたいことは? 』というような質問をカードにして、レッスンの中で1、2枚引いて、喋ってもらいます。
そうすると、日頃あんまり喋らない子が饒舌に喋ってくれることがあるし、自分で話すだけじゃなくて、人の話にも興味を持ってやりとりするようになります。

でも、レッスンの中でするだけじゃ全然時間が足りなくて、もっと何かできないかなと思って、去年、一日ワークショップをしました。

生徒の中に図鑑をいつも見てる子がいるのですが、その子は石を持ってきて元素の話をしてくれました。 大学の研究発表かと思うぐらい、すごい資料を用意して。
このワークショップで、みんなそれぞれ違って、面白いなっていうふうに思ったんですよね。
“自分が新しい体験をする”のが好きな子、“レゴみたいにすでにあるものを一回壊して、再構築して考えていく”のが好きな子、“何かをクリアする”のが好きな子、などといろいろです。

『何でそれが好きなのか』を掘っていくと、みんな一人ずつの核、持って生まれている資質が違うんです。

この一日ワークショップでは『なんか楽しかったね』で終わったのがもったいないと思ったので、3ヶ月のプログラムにして、今取り組んでいるところです。」

いらない思考の癖を切り離すと、生きやすくなる

自分がコーチングを受けたことで、気付いたこともあった。

「子どもの時に誰でも言われてるような『お姉ちゃんでしょ』『きちんとしないといけないよ』といったことや、私は感情の起伏が大きくて『気が強いと怒られるよ、嫌われるよ』と言われたことが残っていました。
そこから、『ありのままじゃいけない』という思い込みが無意識のところにあったんだと気付けました。

それで、現実に起きてる事柄自分の思考の癖を切り離せるようになったことで、すごく楽になりました。

たとえば、人がたくさんいるところに行くとすごく疲れていたんですけど、それは、後で一人で勝手に反省してしまうせいだったんだと気が付きました。
『もっとこうした方が良かったんじゃないか』とか、『あの言葉で良かったかな』とか、気になってしまう部分がすごくあったんですけど、コーチングしてもらったおかげで、『いや、これはいらないよね』と、ポイっと捨てられるようになりました。 

大きな傷があると思ってなくても、誰にでも心の奥の方に何かあったり、起きたことは普通のことでも、『その時の自分がどう捉えたか』に気付いて手放せるだけで本当に生きやすくなります。」

みんなが適材適所で自分らしく輝けるように

音楽教育、子ども向けのワークショップ、大人向けのコーチング。
すべての活動の根幹には、こんな思いがある。

「“ みんなが適材適所で自分らしく輝ける世界を紡ぐ ”というテーマがあります。

教室では音楽を通してお伝えしていきますが、子どもたちをもっとエンパワーできるようなものを作れたらいいなとも思います。
大人の方も、『コーチングで大きく変わった』という方達がいらっしゃるので、そういうお手伝いをもっとしていきたいです。」

 

本格的にコーチングスクールで学びたい方へ